2025年マーケット総括
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2025年の株式市場を振り返ると、最も意外だったのは「AI相場で沸いたはずの米国株が、世界株との相対比較で見劣りした」点だろう。S&P500は年間を通じて上昇し、表面的には堅調だった。しかし、視点を世界に広げると、米国株は必ずしも“勝者”ではなかった。
米国が最上位に立つ構図は崩壊
実際、米国を除く世界株指数(MSCI ACWI ex USA)は米国株を上回るパフォーマンスを示した。とりわけアジア株や新興国市場の伸びは顕著で、中国株や韓国株は米国株を大きくアウトパフォームした。日本株も企業統治改革や資本効率改善を背景に底堅い動きを見せ、結果として「日米中比較」で米国が最上位に立つ構図は崩れた。
外交圧力を受けた各国のパフォーマンスが米国を上回る
さらに象徴的だったのが、トランプ前大統領が強硬姿勢を示したカナダ・メキシコ株にすら、米国株が相対的に劣後した点である。本来、関税や外交圧力の影響を最も受けるはずの国々の株式市場が、結果として米国株を上回るパフォーマンスを記録した。この逆説は、2025年市場の本質をよく表している。
AI関連企業以外には逆風
要因の一つは「AI相場の集中化」だ。米国株の上昇は、AI関連の超大型テック企業に極端に依存していた。一方で、それ以外のセクターは高金利・規制強化・関税不安といった逆風にさらされ、指数全体の伸びを抑えた。AIという“一点突破”は成功したが、経済全体の裾野を広げるには至らなかったのである。
加えてドル安も、米株投資家にとっては痛手となった。現地通貨ベースでは利益が出ていても、円や他通貨ベースで見るとリターンは目減りする。一方、海外株投資家にとっては、自国通貨高と株価上昇が重なり、二重の追い風となった。
世界が米国一強を上回った年
こうして見ると、2025年は「米国が悪かった年」ではない。むしろ「世界が米国一強から分散へ向かった年」と言うべきだろう。トランプ関税や保護主義的な姿勢は、結果的に米国株の相対的魅力を下げ、他国市場に資金を向かわせた可能性がある。
AI覇権を握りながらも、マーケット全体では勝ち切れなかった米国。この事実は、今後の投資戦略において「国別分散」「通貨分散」の重要性を改めて突きつけている。2025年は、米国一極集中が転換点を迎えた年として記憶されるかもしれない。
