かつて、マーケティングや広報は「補助的な部門」として扱われることが少なくなかった。しかし、2025年現在、企業を取り巻く環境は大きく変化している。あらゆる業界で商品やサービスそのものの価値だけでなく、「どう伝えるか」「どう共感を得るか」が企業の競争力に直結するようになった。
SNSや動画配信など、情報の発信手段が多様化し、顧客や社会との接点が複雑化する中で、企業のメッセージはより戦略的で一貫性のあるものでなければならない。ここで鍵を握るのが、マーケティング・広報部門だ。
単なる広告宣伝ではなく、企業のブランド価値を構築し、社会との信頼関係を築く役割を担う。これはもはや「周辺的機能」ではなく、経営の中枢機能に他ならない。
実際、マーケティングや広報への投資が企業の成長を左右する事例は枚挙にいとまがない。商品力にそれほど差がない競合他社を尻目に、明確なメッセージと世界観でユーザーを惹きつけ、支持を集めている企業は多い。その裏には、ブランド戦略と情報発信に本気で取り組む姿勢がある。
これからの時代、広報・マーケティングは「コスト」ではなく「資産」である。経営層がこの認識を持ち、組織全体として“伝える力”を磨いていけるか否かが、企業の未来を左右する分水嶺となる。
「良いものを作れば売れる」時代は終わった。「良いものを“伝えられるか”が勝敗を分ける」時代が、すでに始まっているのだ。
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【筆者】 岩崎 勇一郎
INVESTOR PRESS 編集長
データサイエンティスト /経営学とデータサイエンスでJリーグクラブなどの組織戦略と人財スカウト戦略を設計/ 早稲田大学卒・大学院修了、MBA(経営学修士)および工学博士(遺伝子工学)
Twitter:https://twitter.com/iwasaki_wu
サッカーデータサイエンス系執筆