経営やマネジメントにおいて、停滞は衰退と同義である。現場に甘んじ、時の流れに身を任せ、ただ「好転を期待する」だけの組織は、必ずや競争の波に飲み込まれていく。一方で、積極的に攻め、変革を恐れずに舵を切る企業は、環境の荒波すら追い風に変え、未来を切り拓いてきた。
アメリカ企業──「攻める」ことがDNAに刻まれている
アメリカのビジネス文化は「リスクを取って成長を掴む」ことに集約される。
Amazonはその典型だ。創業当初は単なるオンライン書店に過ぎなかったが、攻めの投資を続け、物流網の構築やクラウド事業(AWS)への進出を果たした。もし現状維持を選び、書籍販売の枠に留まっていたなら、世界企業としての地位は築けなかっただろう。
同様に、Teslaも電気自動車市場という未知の領域に巨額投資を続けたからこそ、自動車業界の常識を覆す存在となった。攻め続ける経営は時に失敗を招くが、その失敗すら次の挑戦の糧とするのがアメリカ流だ。
日本企業──守りに傾いた結果の衰退
一方、日本の多くの企業は「守り」によって成長機会を失った歴史がある。
かつて世界を席巻した家電メーカーがその代表例だ。技術力は高くとも、既存のビジネスモデルに安住し、デジタル化やプラットフォーム化の波に対応できなかった。その間に、AppleやSamsungといった海外勢が新しい価値提案を打ち出し、市場の主導権を奪っていった。
また、自動車産業においてもEVやソフトウェア分野への出遅れが指摘される。もちろんトヨタをはじめとする企業は反転攻勢を図りつつあるが、「守りの姿勢」が長引けば長引くほど、競争の土俵から退くリスクは高まる。
攻め続けることが生存条件
経営において「攻める」ことは、単なる拡大志向ではない。
・市場が変わる前に自ら変わること
・現場に安住せず、新しい挑戦を仕掛けること
・リスクを恐れず、むしろ成長の燃料に変えること
これこそが、好転を呼び込む唯一の道だ。
アメリカ企業はその文化として攻めの姿勢を貫き、日本企業はそこに学ぶべき点が多い。未来を掴むのは「現場に甘んじない経営」であり、「攻めることでしか好転は生まれない」という事実を忘れてはならない。
【筆者】 編集部スペシャル
INVESTOR PRESS 編集部
資本家 / 政策プランナー / 官民連携スペシャリスト / データサイエンティスト など