近年、広告の世界では「注目される」ことだけでなく、「共感を生む」ことが重要視されている。その象徴ともいえるのが、都市部で存在感を放つアドトラック広告だ。移動式広告というダイナミズムに加え、地域との接点を持てるリアルな接触機会は、企業と人々のエンゲージメント向上に効果的だと注目されている。
しかし、アドトラック広告の可能性は、顧客接点の創出にとどまらない。実は最近、従業員の幸福度(Employee Well-being)という観点からも、スポンサー企業にとって重要な出稿理由となりつつある。
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◆アドトラック広告が生む共感と誇り
企業がスポンサーとしてアドトラック広告に出稿する際、その目的は単なるブランディングだけではない。例えば、自社が支援するスポーツクラブや地域イベントの告知を行うことで、従業員が誇りを持てる「社会貢献の可視化」を実現できる。
ある調査では、「自社が社会貢献活動に積極的に取り組んでいる」と感じた従業員の約72%が、「会社への愛着が高まった」と回答している。目に見える形での貢献を、街の中で共有できるアドトラック広告は、企業内エンゲージメントの強化にもつながるのだ。
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◆従業員の幸福度とスポンサー戦略の接続
Z世代を中心に「働きがい」や「共感できる理念」を重視する傾向が強まる中、企業にとって従業員の幸福度は経営戦略の中核になっている。そこで、スポンサー出稿の目的も単なる露出ではなく、従業員との心理的契約を深める手段として捉え直されている。
たとえば、以下のような取り組みが広がりつつある:
• 企業のCSR活動をアドトラックで可視化し、従業員に共有
• 自社のビジョンや理念を街中で伝える広告に従業員が共感
• アドトラック広告を活用した従業員参加型キャンペーンの実施
このように、広告が社内外に向けた「価値の発信装置」として再定義されることで、スポンサー出稿はエンゲージメント・ブランディング・ウェルビーイングの三位一体となる。
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◆これからのスポンサーシップとは
企業が社会とつながる手段として、スポンサーシップの意義は拡大している。ただ目立つのではなく、「何のために支援しているのか」「誰にどんな価値を届けたいのか」を明確にしなければ、真の意味でのエンゲージメントは生まれない。
アドトラック広告は、そうした思いを「動くメッセージ」として体現できる貴重な手段だ。スポンサー出稿を通じて、企業の価値観と従業員の幸福度を一致させる。そんな広告戦略が、これからの時代に求められている。
【筆者】 編集部スペシャル
INVESTOR PRESS 編集部
資本家 / 政策プランナー / 官民連携スペシャリスト / データサイエンティスト など