本稿では「生産性」という観点から日本の課題を分析し、科学的根拠からGDP低下に対する未来への改善策を考察していきます。
日本の生産年齢人口は2025年をピーク
人口減少に歯止めが掛からない日本ではありますが、その影響で最も注目すべきが生産年齢人口(最も生産能力の高い15歳〜64歳世代)の減少になりますが、専門機関の研究によれば、2060年に57.5%まで減少すると予測されています。
日本経済の生産性の課題
- 経済成長の要因は “人口増加×生産性向上“
- 高度経済成長期においては人口増加の影響力が大きかった
- 総人口(2008年がピーク)と生産年齢人口(1995年がピーク)の減少に伴うGDP成長率低下のトレンドは継続中
- 人口減少期において重要になるのが生産性向上
▼ GDP成長率の年次推移の比較
生産性の科学
- 生産性が上がると企業の利益が増える
- なぜなら収入増もしくは支出減に繋がるため
- 企業の利益が増えると時価総額が増える
- なぜなら企業利益が増えれば株価が上がるため
- つまり生産性が上がると中長期的に個人資産が増える
- 企業利益が増えれば生産性の高い個人の収入は増えるため
- 個人資産が増えると効率化が進み生産性が高まる
- 人は収入が増えると余計な物事を効率化させようとするため
- 生産性を向上させることで、更なる生産性向上の循環にも繋がる
生産性向上の投資
生産性向上に関わる投資は以下のようなファクターが考えられる。
(1)研究開発投資(一人当たりの基礎研究費が指標)
・韓国、アメリカに次いで、シンガポール、台湾なども最先端技術で頭角を現す。日本は12位。【データ元】経済産業省
(2)企業の設備投資
・世界的に下がっている。1990年まで日本は世界一の設備投資大国。【元データ】経済産業省
(3)人材投資
・アメリカはGDP比2.5%、欧州は1〜1.2%、日本は0.1% 【元データ】経済産業省
ファクトの整理
- 日本にはネットで1,000兆円の金融資産がある。この資産を生産性向上へ活かせるか?
- 島国の歴史上、減点方式(コスト削減)の精神的文化が築かれやすい。
- 選挙制度が人口ボリューム世代の影響を受けやすい。人口ボリューム世代が国策としての生産性向上を選択するのか?
- 政府には最低賃金を引き上げる切り札があるのか?
- 現実的に多くの日本企業が最低賃金を毎年高めるための生産性向上投資を積極的に行うことは出来るのか?